同成分を含む肥満症治療薬では脱毛症の報告があり、急激な体重減少や栄養不足による「休止期脱毛症」が主な原因と考えられている。短期間で体重が減った場合は症状が出やすいため注意が必要だ。抜け毛が続く場合は、自己判断で中断せず医師に相談し原因を確認するべきである。
- マンジャロ自体に脱毛の記載はない
- 急激な減量や栄養不足で抜け毛は起こり得る
- 症状が続く場合は医師へ相談する
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添付文書には脱毛は副作用として記載されていない
マンジャロの添付文書を確認すると、主な副作用として挙げられているのは、吐き気や下痢、便秘といった消化器症状のほか、食欲低下や倦怠感などである。一方で、「脱毛」や「抜け毛」は主な副作用の項目には含まれていない。
このことから、マンジャロ自体に髪を直接抜けやすくする作用はない可能性が考えられる。現時点では、GLP-1/GIP受容体作動薬が毛包に直接悪影響を与えるという明確な医学的エビデンスも確認されていない。
※参考:医薬品医療機器総合機構(PMDA)「マンジャロ皮下注アテオス 医療用医薬品情報」
同成分のゼップバウンドでは脱毛症の報告がある
一方で、同じ有効成分を使用した肥満症治療薬「ゼップバウンド」では、臨床試験において1〜5%未満の頻度で「脱毛症」が副作用として報告されている。
ただし、これは薬剤が毛根を直接傷害するためではなく、急激な体重減少による栄養バランスの変化や身体への負担など、二次的な影響によって起こる可能性が高いと考えられている。
※参考:医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ゼップバウンド皮下注アテオス 医療用医薬品情報」
マンジャロの使用中に抜け毛が起こる主な原因
マンジャロ使用中に見られる抜け毛は、薬そのものの作用というより、急激な体重変化や栄養状態の変化によって起こるケースが多いと考えられている。主な原因として挙げられるのは、以下の3つである。
急激な体重減少による休止期脱毛症
マンジャロには食欲を抑える作用があるため、使用開始後に短期間で体重が大きく減少する人もいる。こうした急激な体重減少は身体にとって負担となり、毛髪の成長サイクルが乱れることで「休止期脱毛症」を引き起こす可能性がある。
急激なダイエットや栄養不足、強いストレス、発熱などをきっかけに、毛髪の成長サイクルが一時的に乱れて起こる脱毛症である。本来は成長期にある髪が休止期へ移行し、その後しばらくしてから抜け落ちるのが特徴だ。
症状は原因が生じてすぐに現れるわけではなく、数週間から数ヶ月ほど遅れて抜け毛が増えるケースが多い。そのため、体重が減少して落ち着いた頃に、急に抜け毛が気になり始めることも少なくない。
※参考:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症 Q17 他の病気と関連する脱毛はありますか?」
食事量の減少による栄養不足
マンジャロの使用によって食欲が抑えられると、自然と食事量が減る傾向がある。ダイエットには効果的である一方、必要な栄養素まで不足してしまう可能性には注意が必要だ。
髪の毛は主にケラチンというタンパク質からできており、健康な髪を維持するには、タンパク質に加えて鉄分や亜鉛、ビタミンB群などの栄養素も欠かせない。これらが不足すると、髪を作る材料が足りなくなり、髪が細くなったり抜けやすくなったりすることがある。
実際に、鉄不足や亜鉛不足は、脱毛と関連する栄養状態として知られている。
※参考:日本臨床栄養学会「亜鉛欠乏症の診療指針2024」
※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」
ストレスやホルモンバランスの変化
ていることもある。ストレスが続くと自律神経のバランスが乱れ、頭皮の血流低下や休止期脱毛症の誘因につながる場合がある。
また、急激な体重変化はホルモンバランスにも影響を与えることがあり、これも髪の健康に関係する要素の一つとされている。さらに、睡眠不足もホルモン分泌や食行動に影響し、結果として抜け毛を悪化させる可能性がある。
休止期脱毛症と女性AGA(FAGA)の違い
抜け毛や髪のボリューム低下は似たような症状に見えても、原因によって特徴や経過は大きく異なる。マンジャロ使用中に抜け毛が起きた場合は、一時的な休止期脱毛症なのか、それとも女性AGA(FAGA)が関係しているのかを見極めることが重要である。
休止期脱毛症の特徴と回復の目安
休止期脱毛症は、急激な体重減少や栄養不足、ストレスなどをきっかけに、毛髪の成長サイクルが一時的に乱れて起こる脱毛症である。
毛根そのものがダメージを受けているわけではないため、原因が改善されると再び髪は成長期へ戻り、徐々に回復していくケースが多い。
特徴としては、頭全体のボリュームが急に減ったように感じやすい点が挙げられる。一方で、分け目や生え際だけが目立って薄くなるケースは比較的少ない。
抜け毛のピークが落ち着くまでには2〜3ヶ月ほどかかり、その後、新しい髪の成長を実感できるまでには3〜6ヶ月程度かかるのが一般的とされている。毛根自体は維持されているため、栄養状態の改善や無理のない体重管理によって、元の状態に戻る可能性が高い。
※参考:公益社団法人日本毛髪科学協会「毛髪を知る 髪の寿命(ヘアサイクル)」
女性AGA(FAGA)の特徴
女性AGA(FAGA)は、頭頂部や分け目を中心に髪が細くなり、徐々にボリュームが減っていく進行性の脱毛症である。
加齢やホルモンバランスの変化、遺伝的要因などが関係すると考えられており、毛包が少しずつ小さくなることで進行していく。
休止期脱毛症のように急激に抜け毛が増えるというより、髪一本一本が細くなり、分け目や頭頂部の地肌が徐々に目立ってくるのが特徴だ。全体的に均一に抜けるというよりも、特定の部位のボリューム低下がゆるやかに進むケースが多い。
また、自然に改善することは少なく、放置すると進行する可能性がある。
マンジャロ使用中に抜け毛が起きた場合でも、必ずしも休止期脱毛症とは限らない。急激な体重減少をきっかけに、もともとあった女性AGA(FAGA)が目立つようになるケースも考えられる。
※参考:公益社団法人日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
※参考:慶應義塾大学病院 KOMPAS「脱毛症」
セルフチェック|休止期脱毛症と女性AGA(FAGA)の見分け方
現在の抜け毛の状態や髪の変化と照らし合わせながら確認してほしい。あくまで目安ではあるが、特徴を把握することで原因を整理しやすくなる。
| チェック項目 | 休止期脱毛症 | 女性AGA(FAGA) |
|---|---|---|
| 抜け毛の増え方 | 短期間で急に増える | 徐々に進行する |
| ボリュームの変化 | 急に全体のボリュームが減る | 少しずつ薄くなる |
| 薄くなる部位 | 頭全体が均一に抜けやすい | 分け目・頭頂部が目立ちやすい |
| 髪質の変化 | 毛の太さは比較的保たれる | 髪が細く柔らかくなる |
| 発症のきっかけ | 急激な体重減少・ストレス・栄養不足後 | 加齢・ホルモン変化・遺伝など |
| 発症時期 | 体重減少や強いストレスから数ヶ月後 | 時間をかけてゆっくり進行 |
| 地肌の見え方 | 全体的に密度が減る印象 | 分け目や頭頂部の透け感が強い |
| 回復の可能性 | 原因改善で回復しやすい | 放置すると進行する場合がある |
マンジャロ使用後に抜け毛が増えた場合は、急激な減量や食事量の低下による休止期脱毛症が関係しているケースが多い。ただし、もともと女性AGA(FAGA)の傾向がある場合、体重変化をきっかけに症状が目立つようになることもある。
抜け毛が半年以上続く場合は受診を検討する
休止期脱毛症の多くは、原因となる栄養不足や急激な体重減少が改善されることで、数ヶ月かけて自然に回復していく。しかし、次のような変化が続く場合は、女性AGA(FAGA)が隠れている可能性も考えられる。
- 抜け毛が半年以上続いている
- 髪が以前より細くなってきた
- ヘアセットが決まりにくくなった
- 分け目が広がってきた
- 頭頂部の透け感が強くなってきた
女性AGA(FAGA)は進行性の脱毛症であり、放置すると徐々に症状が進む可能性がある。そのため、気になる変化が続く場合は、自己判断だけで様子を見るのではなく、早めに医療機関で相談することが重要である。
特に、抜け毛の原因が休止期脱毛症なのか、女性AGAなのかによって必要な対策は異なる。適切な診断を受けることで、自分の状態に合った治療やケアを選びやすくなる。
抜け毛の原因別の治療と対応
抜け毛は原因によって必要な対策が大きく異なる。休止期脱毛症では、まず原因となっている体重減少や栄養不足の改善が優先される。一方、女性AGA(FAGA)の場合は、進行を抑えながら発毛を促す治療が検討される。
休止期脱毛症|まずは原因の改善が重要
毛根そのものがダメージを受けているわけではないため、原因が改善されれば、時間の経過とともに自然に回復していくケースが多い。そのため、基本的には生活習慣や栄養状態を整えることが優先され、薬による発毛治療が必須となるわけではない。
特に、タンパク質・鉄分・亜鉛・ビタミン類など、髪の成長に必要な栄養素を十分に摂取することが重要だ。過度な食事制限を避け、無理のないペースで体重管理を行うことが回復につながる。
女性AGA(FAGA)|ミノキシジルやスピロノラクトンによる治療が行われることもある
女性AGA(FAGA)が疑われる場合、代表的な治療として用いられるのがミノキシジル外用薬である。
ミノキシジルには頭皮の血流を改善し、休止期にある毛髪を成長期へ移行させる作用があるとされており、髪のボリューム回復を促す効果が期待されている。外用ミノキシジルは『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版』でも推奨度Aに位置付けられており、女性AGA治療の基本的な選択肢の一つとされている。
また、医療機関によってはミノキシジル内服薬が提案される場合もある。ただし、日本では薄毛治療目的での内服使用は承認されておらず、副作用のリスクもあるため、使用については医師の判断のもと慎重に検討する必要がある。
さらに、女性AGAではスピロノラクトンが使用されるケースもある。スピロノラクトンは本来、高血圧やむくみの治療に使われる薬だが、男性ホルモンの働きを抑える作用を持つことから、女性の薄毛治療に応用されることがある。
女性の薄毛でも、男性ホルモンの影響によって毛髪が細くなる場合があり、スピロノラクトンはその作用を抑えることで、細毛化の進行を緩やかにする効果が期待されている。
なお、スピロノラクトンも日本では女性AGA治療目的での使用は未承認である。副作用や服用時の注意点もあるため、使用を検討する際は、必ず医師に相談したうえで適切に判断することが大切だ。
※参考:公益社団法人日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
※参考:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症 Q9 女性型脱毛症は男性型脱毛症とちがうのでしょうか?」
マンジャロ使用中の抜け毛対策
マンジャロの効果を維持しながら髪への負担を抑えるには、体重管理だけでなく、栄養や生活習慣にも目を向けることが重要である。ここでは、薬を継続しながら実践しやすい現実的な対策を紹介する。
タンパク質・鉄分・亜鉛をしっかり摂る
髪の毛の主成分は「ケラチン」と呼ばれるタンパク質である。そのため、健康な髪を維持するには、十分なタンパク質の摂取が欠かせない。
マンジャロ使用中は食欲低下によって食事量が減りやすいため、食べる量が少なくても、必要な栄養素は意識して摂取することが重要だ。
- タンパク質
-
肉、魚、卵、大豆製品などは、髪の材料となる重要な栄養源である。毎食の中でバランスよく取り入れることが望ましい。
- 鉄分・亜鉛
-
鉄分や亜鉛は、毛髪の成長やヘアサイクルの維持に関わる栄養素だ。レバー、貝類、赤身肉、ナッツ類などから補給しやすい。
- サプリメントの活用
-
食事だけで必要量を補うのが難しい場合は、プロテインや鉄・亜鉛のサプリメントを活用する方法もある。ただし、過剰摂取によるリスクもあるため、不安がある場合は医師や薬剤師へ相談することが大切だ。
※参考:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症 Q18 抜け毛を予防する方法はありますか?」
※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」
※参考:日本臨床栄養学会「亜鉛欠乏症の診療指針2024」
急激な減量を避けて無理のないペースで進める
マンジャロは比較的体重が落ちやすい薬だが、急激な減量は身体への負担が大きく、抜け毛を引き起こす原因にもなりやすい。
一般的に、1週間で体重の1%を超えるペースの減量は、体に負担がかかりやすいとされている。短期間で急激に痩せるよりも、長期的に無理なく体重を落としていくことが重要である。
体重の減少スピードが早すぎると感じる場合は、自己判断で続けるのではなく、医師へ相談しながら用量調整を検討することも選択肢の一つだ。
睡眠とストレスケアを意識する
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、髪を含む全身の細胞の修復や再生が行われている。そのため、睡眠不足が続くと、ホルモンバランスや食欲調整に影響し、抜け毛の誘因となる可能性がある。
髪の健康を維持するためにも、十分な睡眠時間を確保することが大切だ。
また、ストレスは自律神経の乱れや頭皮の血流低下につながることがある。ダイエット中は無意識のうちにストレスを抱えやすいため、適度にリフレッシュする時間を作ることも重要である。
軽い運動や散歩、趣味の時間、音楽鑑賞など、自分に合った方法で心身のバランスを整えていくことが望ましい。
パーマ・カラー・強い摩擦などの刺激を避ける
髪が細くなっている時期は、パーマやカラー、強いブラッシングなどの刺激が負担になりやすい。こうした物理的ダメージは、抜け毛や切れ毛を悪化させる要因になることがある。
マンジャロ使用中に髪の変化を感じている場合は、刺激の強い施術を控え、頭皮や毛髪をできるだけやさしく扱うことが重要だ。
洗浄力が強すぎないシャンプーを選ぶことや、頭皮マッサージで血行を促すことも、頭皮環境を整えるうえで役立つ場合がある。
マンジャロをやめたら抜け毛は改善する?
マンジャロ使用中に抜け毛が気になると、「薬をやめれば治るのでは」と考える人も少なくない。ただし、抜け毛の原因によって、改善の仕方や必要な対応は異なる。
休止期脱毛症の場合|原因が改善すれば自然に回復しやすい
休止期脱毛症の場合は、急激な体重減少や栄養不足、ストレスなどの原因が改善されることで、乱れていた毛周期が徐々に正常化し、時間をかけて回復していくケースが多い。
この回復は、必ずしもマンジャロを中止したから起こるわけではない。毛根自体が傷ついているわけではないため、栄養状態の改善や体調の安定によって、自然に抜け毛が落ち着いていくこともある。
一方で、マンジャロによる食欲低下が強く、十分な栄養摂取が難しくなっている場合には、減量ペースの見直しや用量調整、中止の検討が必要になるケースもある。
※参考:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症 Q17 他の病気と関連する脱毛はありますか?」
女性AGA(FAGA)の場合|マンジャロをやめても進行する可能性がある
女性AGA(FAGA)が関係している場合は、マンジャロを中止しただけで抜け毛や細毛化が改善するとは限らない。
女性AGAは進行性の脱毛症であり、加齢やホルモンバランス、遺伝などが関係しているため、原因に応じた治療を行わなければ、徐々に進行していく可能性がある。
特に、分け目の広がりや頭頂部の透け感、髪の細毛化など、女性AGAに特徴的な変化がある場合は、早めに医療機関で相談することが重要だ。
自己判断で中止しないことが重要
マンジャロを継続するか中止するかは、体重管理の状況や体調、栄養状態などを踏まえたうえで、医師と相談しながら判断する必要がある。
マンジャロの副作用が気になったら早めに受診しよう
マンジャロの添付文書では、「脱毛」は主な副作用として記載されていない。現時点でも、マンジャロ自体が直接毛根へ悪影響を与え、髪を抜けやすくするという明確な医学的エビデンスは確認されていない。一方で、同成分を使用した肥満症治療薬「ゼップバウンド」では脱毛症の報告がある。ただし、これは薬剤そのものによる影響というより、急激な体重減少や栄養状態の変化に伴う二次的な要因が関係していると考えられている。
抜け毛が気になる場合でも、自己判断でマンジャロを急に中止するのではなく、体重管理や体調とのバランスを踏まえながら、医師と相談して適切に対応していきたい。



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