ルートレディースAGAクリニック|清水 弘太郎院長に聞いた女性の薄毛治療(FAGA)とは?専門チームと歩むオーダーメイド治療

2025年10月22日に実施したインタビューを元に執筆しています。

分け目が目立ってきた、髪全体のボリュームが減った、抜け毛が増えた気がする……。

女性にとって、髪の悩みは非常にデリケートでありながら、深刻な問題だと思います。市販の育毛剤を試したり、食生活を見直したりしても、なかなか実感が得られず、「誰に相談すればいいのか分からない」と一人で抱え込んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

実は、女性の薄毛(FAGA)は、男性の薄毛(AGA)とは異なり、その原因が複雑で多岐にわたるため、自己流のケアでは解決が難しいとされています。

今回、お話を伺ったのは、鎌倉・大船にある女性の薄毛治療専門クリニック「ルートレディースAGAクリニック」院長の清水 弘太郎(しみず こうたろう)先生。

形成外科・麻酔科という異色の経歴を持ち、大手AGAクリニックで診療部長を務めた経験から、「女性の悩みの深さ」に誰よりも向き合ってきたドクターです。

なぜ女性専門の道を選んだのか、FAGA治療の専門性とは何か、そして「悩みの深い女性を救いたい」という強い想いについて、詳しくお聞きしました。

目次

「女性の悩みは、男性よりはるかに深い」|清水院長がルートレディースAGAクリニックを開業した理由

形成外科と麻酔科でキャリアを積まれた清水院長。

一見、薄毛治療とは異なる分野のようにも思えますが、その道を選んだ背景には、医療現場で目の当たりにした女性たちの切実な悩みと、それに応えたいという強い使命感がありました。

ーー先生は形成外科と麻酔科を専門とされていましたが、なぜ薄毛治療の道に進み、「女性専門」のクリニックを開院されようと思ったのですか?

清水院長
 私はもともと形成外科と麻酔科を専攻していました。形成外科は「整容性」、つまり見た目をより良くすることを追求する分野であり、麻酔科は患者様の「痛み」を取り除くことを重要視する分野です。その両方の視点を持って医療現場に立つ中で、大手AGAクリニックに勤務する機会がありました。
 そこで数多くの患者様を診察するうちに、ある現実に直面したのです。それは、「女性の薄毛の悩みは、男性のそれよりも、はるかに深く、根強い」ということでした。
 男性の場合、もちろん若くして薄毛に悩む方もいらっしゃいますが、例えば60歳を過ぎると「もういいかな」と、ある種の諦めや受容をされる方も少なくありません。しかし、女性は違います。実際に当院には80歳を超える方も通院されています。女性は、いくつになっても「髪は女性の命」であり、その悩みに年齢は関係ないのです。
 「薄毛のせいで気分が乗らず、外出する気も起こらない」と涙ながらに訴える患者様を前に、この深刻な悩みを何とかしたい、と強く思ったのが、私がこの道に進んだ原点です。そして、どういう人生のフェーズであっても、深く悩んでいる女性を一人でも多く救いたい、その想いから女性専門のFAGAクリニックを開院することを決意しました。

ーー男性のAGA治療とは、患者様の悩みの質や行動にも違いがあるのでしょうか?

清水院長
 全く違いますね。先ほど申し上げた「悩みの深さ」がまず違います。さらには、男女における行動パターンの違いもあります。
 おそらく男性の患者様は、ネット広告や電車広告を見て、「とりあえず行ってみるか」と比較的ライトに来院される方が多い印象です。オンライン診療で薬だけ欲しい、という方も少なくありません。
 一方で、女性の患者様は非常に深刻な悩みを抱えていらっしゃいます。クリニックに来院されるまでに、ご自身で育毛剤を片っ端から試したり、増毛サロンに通ったり、サプリメントを色々試したりと、紆余曲折を経て「最後の砦」のような気持ちでご来院される方が多くいらっしゃいます。
 そのため、みなさん来院される前の情報収集も徹底されています。当院のホームページだけでなく、口コミサイトをすべてチェックし、医師の経歴や治療内容を深く調べてから、「ここなら信頼できるかもしれない」と判断して予約を入れてくださっているようです。また、男性のように「薬だけもらえればいい」という方は少なく、「自分の状態をしっかり診て、きちんと説明してほしい」という対面診療への強いニーズをお持ちです。私たちは、その真剣な想いに、真剣に応えなければならないと思っています。

ーー「ルートレディースAGAクリニック」というお名前には、どのような想いが込められているのですか?

清水院長
 男性の薄毛の悩みもセンシティブですが、女性がご自身の薄毛に対して抱くコンプレックスは、計り知れない大きさがあります。
 「この薄毛の悩みを、一体誰に相談したらいいのだろう…」そうやって人知れず悩み、インターネットの不確かな情報に振り回されている女性があまりにも多い。私たちは、そんな女性たちにとって、「薄毛の悩みを解決するための正しい道筋(ルート)」を示せる存在でありたい、という強い想いを込めて「ルートレディースAGAクリニック」と名付けました。

清水 弘太郎院長の「三つの専門性」|形成外科・麻酔科・毛髪診断士の知見が導く治療

清水院長がFAGA治療において高い専門性を発揮できる背景には、ユニークなご経歴があります。

「見た目」「痛み」「毛髪科学」という三つの異なる分野のプロフェッショナルとしての視点が、どのように日々の診療に活かされているのかを伺いました。

ーー先生の「形成外科医」としてのご経験は、薄毛治療においてどのように活かされていますか?

清水院長
 先ほども触れましたが、形成外科は「整容性」、つまり「見た目をいかに美しく、自然に整えるか」を追求する分野です。これは、薄毛治療のゴールと深く共通しています。患者様が気にされている「見た目」の悩みを深く理解し、ただ髪を生やすだけでなく、「どのように生え揃えばご本人が一番満足されるか」というゴールイメージを正確に共有し、そこに向けて治療計画を立てる上で、形成外科医としての経験は非常に役立っています。

ーー「麻酔科医」としての知見は、「痛み」への配慮に繋がっているのでしょうか?

清水院長
 おっしゃる通りです。薄毛治療、特に頭皮に直接薬剤を注入する「メソセラピー」は、効果が高い一方で「痛そう」というイメージで躊躇される方が少なくありません。私は厚生労働省認定の麻酔科標榜医でもありますので、「いかに患者様に苦痛を与えないか」という点も専門としてきました。もちろん痛みには個人差がありますが、これまでの麻酔科での知識と技術を応用し、当院のメソセラピーでは痛みを抑えるために試行錯誤を重ねた独自の方法を採用しています。

ーー先生ご自身も「毛髪診断士」の資格をお持ちです。医師でありながら、なぜその資格を取得したのでしょうか?

清水院長
 医師としてFAGAを医学的に診断・治療するのはもちろんですが、それだけではカバーしきれない領域があると感じたからです。毛髪診断士は、髪の毛そのものの構造やヘアサイクル、頭皮環境、栄養学など、髪に関する幅広い知識を持っています。この資格を持つことで、医師としての視点(病気の治療)と、毛髪科学のプロとしての視点(髪と頭皮の健康)の両方から、患者様のお悩みを多角的に分析し、よりきめ細かなアドバイスや治療提案ができると考えています。

FAGA(女性型脱毛症)とは? なぜ自己流ケアでは難しいのか

「FAGA」という言葉自体は知っていても、その実態は正しく理解されていないことも多いと清水院長は言います。

なぜ女性の薄毛は改善が難しいのか、その根本的な原因と診断方法について伺いました。

ーーそもそも、女性の薄毛「FAGA(女性型脱毛症)」とは、どのような脱毛症なのでしょうか?

清水院長
 FAGA(Female Androgenetic Alopecia)は、女性に見られる脱毛症の総称で、「女性男性型脱毛症」とも呼ばれます。男性のAGAが主に生え際や後頭部から進行するのに対し、FAGAは頭頂部の分け目(クリスマスツリー型と言われることもあります)が広がるように薄くなるのが大きな特徴です。
 進行すると、分け目を中心に全体的なボリュームが減り、頭皮が透けて見えるようになります。また、髪の毛自体が細く、弱々しくなってしまうのも特徴の一つです。

ーー男性のAGAとは、何が違うのですか?

清水院長
 最大の違いは、原因が明確かどうか、です。
 男性のAGAは、テストステロンという男性ホルモンが「5αリダクターゼ」という酵素と結びつき、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という悪玉男性ホルモンに変化することが主な原因であると解明されています。つまり、このDHTの働きを抑える薬(フィナステリドやデュタステリド)を用いれば、治療の柱が立ちます。
 しかし、女性のFAGAは、残念ながら「これが原因だ」と一つに特定することができません。男性のようにDHTだけが悪さをしているわけではないのです。

ーーFAGAの主な原因としては、どのようなものが考えられるのでしょうか?

清水院長
 本当に様々で、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
 代表的なものとしては、加齢や出産、更年期などによる「女性ホルモンのバランスの乱れ」が挙げられます。女性ホルモン(エストロゲン)には髪の成長期を維持する働きがあるため、これが減少すると薄毛が進行しやすくなります。
 そのほかにも、過度なダイエットによる「栄養不足」、特に鉄分が不足する「貧血」、「甲状腺の病気」、慢性的な「睡眠不足」や「ストレス」、さらには「遺伝的要因」や喫煙習慣なども関与しているとされています。
 このように、原因が多岐にわたるため、治療も一筋縄ではいきません。

ーー市販の育毛剤などを試す方も多いですが、クリニックでの治療が必要なのはなぜですか?

清水院長
 一番の理由は、原因が複合的であるため、ご自身の判断で「これだ」と決めつけてケアをしても、的外れになっている可能性が高いからです。
 もう一つの理由は、シンプルに「有効成分の濃度の違い」です。例えば、発毛効果が認められている「ミノキシジル」という成分がありますが、市販の女性用育毛剤では濃度が1%まで(男性用は5%)が多いです。クリニックでは、患者様の状態に合わせて、より高濃度のミノキシジル外用薬や、内服薬として処方することが可能です。
 分かりやすく効果のイメージをお伝えするなら、もし市販の育毛剤の効果を「1」とするならば、当院で行う内服薬・外用薬・メソセラピー(注入治療)を組み合わせた治療の効果は「15」以上にもなると考えています。医療機関でしか扱えない薬剤や治療法を、医師による診断のもとで組み合わせるからこそ、高い効果が期待できるのです。

ルートレディースAGAクリニックの「テーラーメイド治療」

原因が特定しにくいFAGAだからこそ、ルートレディースAGAクリニックでは画一的な治療は行いません。

院長の専門性に加え、国内でもトップレベルの知識を持つ「毛髪診断士」がチームを組み、一人ひとりに最適な「テーラーメイド治療」を提供しています。

ーー原因が様々だと、治療も難しくなりそうですね。

清水院長
 FAGA治療が難しいのは、まさにその原因が多様化しているからです。
 男性のAGAであれば、先ほどお話ししたようにDHTを抑える薬とミノキシジルを処方すれば、多くの場合改善が見込めます。いわば「この薬を出しておけば大丈夫」という側面が強い。
 しかし、女性はそうはいきません。ホルモンバランスが問題なのか、栄養状態なのか、血流なのか、あるいは遺伝的素因が強いのか…それらを総合的に判断し、「抜け毛を減らすアプローチ」と「毛を生やすアプローチ」を、その方ごとに最適化して組み合わせる必要があります。
 この薬が効きづらいなと思ったら、別の薬に変えたり、配合を調整したりする。当院では、こうした「テーラーメイド(オーダーメイド)治療」を徹底しております。

ーー貴院の「専門チーム」とは、具体的にどのような体制なのでしょうか?

清水院長
 当院の最大の強みは、医師である私だけでなく、非常に専門性の高いスタッフが揃っていることです。特に弊院のカウンセラー長は、「毛髪診断士指導講師」という資格を持っています。これは、毛髪診断士を育成・指導する立場の上級資格で、日本全国でも非常に稀有な存在です。
 院長の私も含め、まさに「髪オタク」と呼べるようなスタッフが集まっています(笑)。患者様が「しっかり見てほしい」という強いニーズを持っていらっしゃるからこそ、私たちは医師と毛髪診断士指導講師がタッグを組んで、その想いにお応えしています。

ーー具体的には、どのような治療メニューがあるのでしょうか?

清水院長
 基本は、患者様の症状に合わせたオーダーメイド処方となりますが、柱となるのは以下の3つです。

①内服薬
発毛を促す「ミノキシジル」や、ホルモンバランスを整える「スピロノラクトン」などを、その方の状態に合わせて処方します。

②外用薬
頭皮に直接塗布する高濃度の「ミノキシジル」などで、血流を促進し発毛をサポートします。

③毛髪再生メソセラピー
これが当院で行っている治療の大きな特徴の一つです。

その他、治療効果を高めるための専用サプリメント(パントガール、ルグゼバイブなど)を併用することもあります。

ーー特に「毛髪再生メソセラピー」に力を入れていると伺いました。どのような治療ですか?

清水院長
 メソセラピーとは、内服薬や外用薬だけでは届きにくい頭皮の奥深く、毛根の周り(毛母細胞)に、発毛に有効な成分を直接注入する治療です。
 当院では、「幹細胞培養上清液(かんさいぼうばいようじょうせいえき)」という製剤を使用します。これには、サイトカインや成長因子(グロースファクター)と呼ばれる、細胞の修復や再生を促す成分が豊富に含まれています。
 これらの有効成分が毛根に直接届くことで、毛母細胞の働きが活発になり、発毛環境を強力に整える効果が期待できます。飲み薬や塗り薬と併用することで、より高い相乗効果を目指せる治療法です。

ーー治療薬、特にその「幹細胞培養上清液」には徹底的にこだわっているそうですね。

清水院長
 はい、私たちには並々ならぬこだわりがあります。実は、クリニックを立ち上げる際、国内外の20社以上のメーカーから幹細胞培養上清液を取り寄せ、比較検討しました。
 というのも、この製剤は透明な液体なので、外から見ただけでは中に何が入っているか分かりません。有効成分であるサイトカインが「何種類」「どれくらいの量」入っているのかを明示しているメーカーは、実は非常に少ないのです。
 残念ながら、中には品質が不明瞭なまま流通しているものも存在するのがこの業界の実情です。私たちは、論文などで有効性が示されている成分の種類と量が最も豊富で、かつそれを明示している、信頼できる国内のラボの製剤を選定しました。
 外側からは見えづらい部分ですが、患者様の大切なお身体に使うものだからこそ、品質に一切妥協しない。それが「本当にちゃんとやろうとしている」クリニックとしての責務だと考えています。

ルートレディースAGAクリニックの診療方法|「悩み」の「評価」の二軸で寄り添う

高い治療効果を追求する一方で、清水院長は「患者様の主観的な悩み」に寄り添うことを何よりも大切にしています。

安心して治療を続けてもらうための、クリニックの「モットー」と「配慮」について伺いました。

ーー日々多くの患者様と接する中で、先生が一番大切にされている「モットー」は何ですか?

清水院長
 これはクリニック全体のモットーでもあるのですが、「患者様の主観的な悩み」と「医師の客観的な評価」のギャップをなくすことを常に心がけています。
 どういうことかと言いますと、例えば患者様が「すごく薄毛が気になる」と悩んで来院されたとします。それに対して、私たちが「いや、客観的にはそれほど薄くありませんよ」と言ってしまったら、患者様の悩みは行き場を失ってしまいますよね。
 私たちは、まず患者様が悩んでいらっしゃるという事実を100%受け止めます。その上で、「患者様のゴール(どのレベルまで改善したいか)」をしっかりと共有し、それに向けて一緒に治療を進めていく。これが第一の軸です。
 それと同時に、もう一つの軸として、私たちの目で「治療開始時と比べて、今どういう状態か」を客観的に評価することも怠りません。「ご本人はあまり実感されていないかもしれませんが、マイクロスコープで見ると新しい毛がこれだけ生えていますよ」とお伝えすることもあれば、時には「正直、この治療法ではあまり効果が出ていないので、こちらに変えてみましょう」と率直にお伝えすることもあります。
 この「患者様のゴール(主観)」と「医師の評価(客観)」、二つの軸をしっかり持って伴走することが、信頼関係の構築と治療の成功に不可欠だと考えています。

ーー薄毛の悩みは非常にデリケートだと思います。プライバシーへの配慮はどのように行っていますか?

清水院長
 もちろんです。女性専門クリニックとして、そこは徹底しています。当院は完全予約制であり、ご来院いただいた患者様は、待合室でお待ちいただくことなく、すぐに完全個室のカウンセリングルーム兼診察室へご案内します。そのため、他の患者様と顔を合わせる心配はございません。リラックスしてお悩みをお話しいただける環境を整えています。

ーー治療薬の副作用について不安があります。

清水院長
 治療開始前には、考えられる副作用について必ず医師から丁寧にご説明します。
 例えば、内服薬のスピロノラクトンでは「頻尿」、ミノキシジルでは「動悸・頭痛・むくみ」、そして「初期脱毛(治療初期に一時的に抜け毛が増える現象)」などが報告されています。
 これらの副作用は、お薬の量を調整することでコントロールできる場合がほとんどで、多くの方が問題なく治療を継続されています。当院では、患者様一人ひとりの体調や症状の変化を注意深く見ながら処方量を細かく設定し、副作用を抑えながら治療を継続できるよう配慮しています。

ーー実際、どのような患者様が多く来院されていますか?また、来院のきっかけは何が多いですか?

清水院長
 患者様の年齢層でいうと、40代・50代の女性が全体の約6割を占めています。ただ、先ほどお話ししたように60代以上、最高85歳の方まで幅広く治療経験がありますし、中には未成年の患者様もいらっしゃいます。
 ご自身で気づかれるきっかけとしては、「抜け毛の量が明らかに増えた」「髪の毛が細くなってきた」「髪のまとまりがなくなってきた」などが多いですね。
 意外と多いのが、「人からの指摘」です。お子様から「ママ、てっぺん薄いよ」と無邪気に言われてショックを受けたとか、美容師さんに「少しボリュームが減りましたね」とやんわり言われたとか。また、ご自身では気づきにくい角度、例えばエレベーター内の監視カメラの映像にご自身の頭頂部が映っているのを見て気づいた、とか、斜め上から撮られた写真を見て「こんなふうに見えていたんだ」と愕然とした、というお声もよくお聞きしますね。

女性の薄毛治療(FAGA)にかける想い|清水 弘太郎院長のモチベーション

治療を継続し、髪の状態が改善していくことで、患者様の心にも大きな変化が生まれると言います。

清水院長のモチベーションの源泉と、この分野の未来について伺いました。

ーー治療を通じて、患者様からどのようなお声が寄せられると嬉しいですか?

清水院長
 髪の毛が実際に増えて「鏡を見るのが楽しくなった」と言っていただけるのももちろん嬉しいです。ですが、私が医師として一番の喜びを感じるのは、患者様の「行動様式が変わった」というお声を聞いた時ですね。
 「先生のおかげで、外出時に必ずつけていたウィッグや帽子がなくても外を歩けるようになりました」「今までは人に会うのが億劫だったけれど、最近は友人と食事に行く機会が増えました」と言ってい長けた時には非常にやりがいを感じます。
 髪の悩みから解放されることで、患者様が自信を取り戻し、人生そのものがポジティブに変わっていく。その瞬間に立ち会えることが、この仕事の最大のモチベーションです。

ーー治療期間や費用の目安についても教えていただけますか?

清水院長
 まず、FAGA治療は髪の毛の生え変わるサイクル(ヘアサイクル)に合わせて行うため、ある程度の期間が必要です。即効性を求めるものではなく、最低でも半年、理想的には1年以上の継続をおすすめしています。治療を始めてから6ヶ月ほど経って、徐々に効果を実感されるケースが多いですね。
 費用については、患者様の症状や選択される治療プランによって異なります。もし、内服薬・外用薬・メソセラピーをすべて組み合わせた「フルプラン」で治療を行う場合、1年間の治療費の目安は、おおよそ80万〜140万円程度になります。費用の差は、主にメソセラピーで使用する幹細胞培養上清液の量や回数によって生じます。
 もちろん、これはあくまで一例であり、患者様のご予算やご希望に合わせて、内服薬と外用薬のみで進めるなど、柔軟なプランニングが可能です。

ーー先生が今後、薄毛治療の分野で期待されていることはありますか?

清水院長
 薄毛治療の分野では、ここ数十年、革新的な新しい薬が出ていないのが現状です。例えばミノキシジルは30年以上前に開発された薬ですが、今もなお第一線で使われています。今後は、FAGAの原因究明がさらに進み、それに基づいた新しい治療薬が登場することを期待しています。
 また、医療分野全体として、AIやIT技術と医療の掛け合わせには非常に注目しています。例えば、美容医療ではAIがシミやシワの状態を画像診断するデバイスがありますが、あれの薄毛治療版ですね。頭皮をスキャンするだけで、毛の本数や頭皮の透け感をAIが正確に解析し、進行度を客観的に診断できるようなデバイスです。そういった新しい技術が、より正確な診断と治療に繋がっていくと期待していますし、いつか自分でも開発に携わってみたいとも考えています。

“最終手段”ではなく”最初の相談先”へ|薄毛に悩み始めた女性に向けて

最後に、今まさに薄毛のことで一人悩み、この記事を読んでいる読者に向けて、清水院長から温かいメッセージをいただきました。

ーー薄毛に関する様々な噂、例えば「毛深い人はハゲる」とか「秋は抜け毛が多い」といった話は本当なのでしょうか?

清水院長
 よく聞かれる質問ですね(笑)。まず「毛深い人(体毛が濃い人)はハゲる」という噂ですが、これは男性ホルモン(テストステロン)の量が多いと体毛が濃いやすいため、そこから連想されたものだと思います。ただ、先ほどお話ししたように、薄毛(AGA)の直接の原因は悪玉男性ホルモン(DHT)であり、テストステロンの量とDHTの量が必ずしも比例するわけではありません。
 ですので、「毛深い=ハゲる」と直結はしませんが、「数ある要因の一つ」くらいに考えていただくのが良いかと思います。次に「秋は髪が抜けやすい」というのは、これは事実です。よく「夏の紫外線のダメージが秋に出る」と言われますが、私はそれよりも、犬や猫に「換毛期」があるように、人間の祖先が持っていた換毛期のサイクルが今も残っており、その影響で秋は抜け毛が増えやすくなると考えています。このように、世の中には根拠のある話と、そうでない噂が混在しています。

ーーどのようなタイミングでクリニックに相談するのがベストでしょうか?

清水院長
 「悩み始めたら、できるだけ早く」というのが答えです。よく、床に落ちている毛や、お風呂の排水溝の抜け毛を見て「明らかに量が増えてきた」と感じたり、鏡を見て「髪が細くなった」「地肌が透けて見える」と感じたりした時点、それが相談のタイミングです。
 多くの方が、クリニックでの治療を「いろいろ試した後の”最終手段”」だとお考えです。しかし、これはFAGA治療において非常に重要なことなのですが、髪の毛を作り出す毛根(毛包)は、一度完全に傷んで死んでしまうと、残念ながら再生させることが非常に難しくなります。
 治療で効果が出せるのは、毛根がまだ生きているうち、弱っているうちです。だからこそ、症状が進行してしまう前に、できるだけ早い段階で信頼できる医療機関に相談していただきたいと思います。

ーー最後に、薄毛に悩む読者の方へメッセージをお願いします。

清水院長
 女性の薄毛は、本当にデリケートで、パーソナルな悩みです。だからこそ、一人で抱え込み、誰にも言えずに悩んでいる方が本当に多いと感じています。私たちは、そんな皆様が悩みを打ち明けられる「最初の相談場所」でありたいと心から願っています。
 クリニックに来たからといって、無理に高額な治療をお勧めすることは絶対にありません。まずは、あなたが今、何に悩み、どう感じているのかを、私たちにお聞かせください。
 今あなたの髪がどういう状態にあるのか、そして考えられる選択肢にはどういうものがあるのかを、一つひとつ丁寧にご説明します。その上で、あなたに合った最適な「解決の道(ルート)」を一緒に見つけていきましょう。
 どんな小さな不安や疑問でも構いません。どうぞ、お一人で悩まず、お気軽に当院にご相談ください。

ルートレディースAGAクリニック

診療科目女性の薄毛治療(FAGA)・形成外科・美容皮膚科
住所〒247-0056
神奈川県鎌倉市大船1-11-18 プロシードハピネスビル 4F
診療日(月・火・水・土・日・祝)
10:00~19:00
休診日木・金
院長清水 弘太郎
TEL0467-38-8396
※受付時間 10:00~19:00
最寄駅JR「大船駅」より徒歩3分
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この記事を書いた人

診療ナビ」はアドバイザーナビ株式会社が運営する医療情報発信メディアです。開業クリニックの先生方に直接取材を行い、診療への姿勢や先進医療への取り組み、地域医療への貢献、さらには医療業界に対する考えや想いをお届けします。読者の皆さまにとって、医療をより深く理解し、身近に感じていただける発信を続けてまいります。

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