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目黒柿の木坂リウマチ・内科クリニック|「その指の痛み、年のせい?」リウマチ医・山口 晃弘 院長が語る「人生に寄り添う治療」の真髄

2025年8月21日に実施したインタビューを元に執筆しています。

朝、指がこわばる/手首が痛む/腫れが引かない——そんな不安を抱えながらも「どこに相談すればいいの?」と迷っていませんか。

目黒柿の木坂リウマチ・内科クリニック(東急東横線都立大学駅 徒歩3分)は、リウマチを“内科”として全身で診ることを大切にし、丁寧な説明×大病院と同水準の薬物療法で支える専門クリニックです。

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)院長に詳しくお話を伺いました。

目次

人と向き合いたい|山口晃弘院長がリウマチ専門医の道を選んだ理由

機械ではなく、人間そのものと向き合いたい。

山口院長は、そんな想いを胸に医師の道を目指したそうです。

東京大学医学部を卒業後、アメリカへの留学も経験され、リウマチ・膠原病分野の研鑽を積んでこられました。

ーー先生が医師を目指されたきっかけについて教えていただけますか?

山口院長父が自動車メーカーの技術者だったこともあり、私もどちらかというと理系指向でした。ただ、ずっと機械に向き合うよりは、人間と向き合いたい、人と関わる仕事がしたいという気持ちが強くありました。人と向き合える理系の仕事は何かと考えたとき、自然と「医師」という道が思い浮かびました。医師になって、内科か外科かという選択においては、人間全体を診ることができる内科に魅力を感じたんです。外科は、例えば心臓外科、消化器外科というように、臓器別のパーツを診ているというイメージがあります。もちろんそれは非常に専門的で重要なことですが、私はもっと、それぞれの臓器の相互作用も含めて、その人を「まるごと」診たいという想いが強かったのです。

ーーリウマチ・膠原病内科を専門に選ばれた理由を教えてください。

山口院長内科の中でも、リウマチ・膠原病は、特定の臓器だけでなく、関節、皮膚、肺、腎臓など、全身に症状が現れる可能性がある病気です。全身を見なければならないということは、それだけ幅広い知識が求められます。ある意味、内科の中でもさらに「内科らしい」分野だと感じ、そこにやりがいと面白さを見出しました。

また、リウマチは残念ながら数回の治療で完治する病気ではありません。発病すると長く付き合っていく必要があります。だからこそ、患者さんと長いお付き合いができる。治療を通して、その方の人生に寄り添い、背負っていくような要素が強いこの分野に、大きな魅力を感じたのです。

ーーアメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)への留学もご経験されていますが、どのような研究をされていたのですか?

山口院長はい、UCLAのリウマチ学教室で、膠原病の中でも反応性関節炎という病気のメカニズムの研究に携わる機会をいただきました。当時は、リウマチ性疾患の病態解明が大きく進んでいた時期で、世界レベルの研究現場で得た知識や経験は、私の大きな財産となっています。特に、新しい治療法が生まれる背景にある基礎研究の重要性を肌で感じることができました。新しい治療薬は海外で開発されることが多いですから、その一次情報に触れ、日本の患者さんにどう応用できるかを考えることは、専門医として非常に重要な事だと考えています。

ーー大学病院や基幹病院で院長も歴任された後、2017年になぜこの場所でクリニックの開業を決意されたのでしょうか?

山口院長大学病院のような大きな組織では、臨床、つまり目の前の患者さんを診るだけでなく、研究や教育といった役割も担う必要があります。論文を書いたり、学会で発表したりすることも非常に重要で、それによって医学が発展し、将来的に何万人もの患者さんを救うことに繋がるのは間違いありません。それは大変意義深いことですが、私の性分としては、少し目先にこだわるタイプなのかもしれません(笑)。研究で未来の多くの人を救うことよりも、「今、目の前にいる患者さんをどうしたら救えるだろうか」と、一人ひとりと深く向き合うことの方に、より強いやりがいを感じていました。

ーーそれは素晴らしいですね。

山口院長大病院では、どうしても待ち時間が長くなり、診察時間が短くなりがちです。患者さんも焦ってしまい、本当に聞きたいことが聞けなかったということもあるでしょう。患者さんと深く向き合い、身体のことだけでなく、それ以外のことも何でも相談してもらえるような、そんな場所を作りたい。今までの経験や知識を活かし、患者さんの人生の時間軸に長く関わる治療をしたいという想いが強くなり、開業に至りました。以前勤務していた病院が世田谷区にあったので、当時からの患者さんにも通っていただきやすいようにと考え、この都立大学駅の近くにご縁をいただきました。

「もしかしてリウマチ?」|目黒柿の木坂リウマチ・内科クリニックの診療内容

「朝、手がこわばる」「指の関節が腫れて痛い」

そう感じる人はもしかするとリウマチかもしれません。

リウマチが疑われる症状や、クリニックでの診断の流れについて詳しく伺いました。

ーー最近、インターネットで症状を調べて「リウマチかもしれない」と来院される方も増えているそうですね。

山口院長はい、非常に増えています。昔は、手が痛い、膝が痛いとなると、まずは整形外科を受診される方がほとんどでした。しかし、今はインターネットが発達しているので、ご自身の症状を検索して「どうもリウマチという病気らしい」「早期発見・早期治療が大事らしい」と知って、直接当院のようなリウマチ内科を受診される方が多くなりました。これは、以前とは大きく違う点ですね。情報化社会の良い側面だと思います。

ーー具体的に、どのような症状で来院される方が多いのでしょうか?

山口院長関節リウマチは、40代から50代の女性に発症することが多いとされています。ちょうど更年期障害や、加齢による指の変形性関節症などが起こりやすい時期と重なるため、ご自身では判断が難しいことが多いようです。特に多いのは、「朝のこわばり」です。朝起きた時に手が握りにくい、動かしにくいといった症状が30分から1時間以上続く場合は、リウマチの可能性があります。また、こわばりだけでなく、手首や、手の指の付け根、第二関節、足の指の付け根といった小さな関節に痛みや腫れが出やすいのも特徴です。そういった症状が気になって来院される方が多いですね。

ーー受診した場合、どのような検査や診察でリウマチかどうかを判断するのですか?

山口院長まず、問診でどのような症状がいつからあるのか、詳しくお話を伺います。その後、関節の腫れや痛みの状態を直接手で触って確認する触診を行います。リウマチには特徴的な腫れ方があるんです。それに加えて、血液検査とX線(レントゲン)検査を行います。血液検査では、体内の炎症の程度を示す数値(CRPなど)や、リウマチの体質を示す特殊なタンパク質である「自己抗体」(リウマトイド因子や抗CCP抗体)の有無を調べます。X線検査では、リウマチによる骨の変化(骨びらん)が起きていないかを確認します。これらの結果を総合的にみて、リウマチかどうかを診断します。見た目ではあまり腫れていなくても、血液検査で異常が見つかることもありますし、その逆もあります。ですから、多角的に評価することが非常に重要です。

ーー「悩むくらいなら一度来てほしい」と先生はおっしゃっていますが、その理由について教えていただけますか?

山口院長関節リウマチは、早期発見・早期治療が何よりも大切です。治療の開始が遅れると、関節の破壊が進んでしまい、元に戻すことが出来なくなってしまいます。ですから、「こんなことで病院に行っていいのかな」と躊躇せずに、気になる症状があれば、まずはリウマチ科に相談していただきたいのです。検査の結果、リウマチではなかった、ということも多々あります。その場合は、「大丈夫ですよ、年のせいかもしれませんね」とお話しできますし、それで安心できるなら、それが一番良いわけです。もし、現時点では典型的なリウマチとは言えないけれど、血液検査でリウマチになりやすい体質が見つかった方(リウマチ予備軍)には、「今後こういう症状が出てきたら、すぐに来てくださいね」とお伝えすることができます。備えがあれば、いざという時に迅速に対応できます。ハードルを高く感じずに、ぜひ気軽に受診していただければと思います。

外科的治療から内科的治療へ|リウマチの治療は進化した?

かつては「治らない病気」「関節が変形してしまう病気」というイメージも強かった関節リウマチ。

しかし、ここ二十年で治療法は劇的に進歩し、治療の目標も大きく変わったそうです。

ーーひと昔前と比べて、リウマチの治療はどのように変わったのでしょうか?

山口院長30年、40年前は、リウマチに使える薬の種類が非常に限られていました。痛みを抑える薬はあっても、病気の進行そのものを抑える薬「抗リウマチ薬」は効果が弱かったのです。そのため、薬でうまくいかない部分は、リハビリテーションで今ある関節の機能を維持したり、マッサージなどで痛みを和らげたりといった理学療法が、今よりもずっと大きな役割を担っていました。しかし、その後、リウマチがなぜ起こるのかという病気のメカニズムが解明されるにつれて、病気の根本的な部分に作用する「抗リウマチ薬」が次々と開発されました。これにより、リウマチの進行を抑えることが可能になり、治療は大きく変わりました。

ーー特に「生物学的製剤」の登場が大きな変化だったと伺いました。

山口院長今から二十年ちょと前に登場した「生物学的製剤」という注射薬が、リウマチ治療に革命をもたらしました。これは、バイオテクノロジーを用いて作られた薬で、リウマチの炎症を引き起こす原因物質の働きをピンポイントでブロックします。従来の飲み薬に比べて、効果が現れるのが非常に早く、そして効果が非常に強いのが特徴です。入院中の患者さんに点滴をすると、翌朝には「スッキリと体が軽くなった」とおっしゃったり、皮下注射をして次にいらっしゃった時には、あれほどパンパンに腫れていた関節の腫れがすーっと引いていたり。そんな劇的な治療効果がみられるようになったんです。この薬の登場によって、関節破壊を強力に食い止め、患者さんの長期にわたる生活の質(QOL)を格段に高めることができるようになりました。

ーー飲み薬もあるのでしょうか?

山口院長はい。十年前に「JAK阻害薬」という新しいタイプの飲み薬が登場しました。これもまた、炎症を引き起こす体内の信号をブロックする薬で、生物学的製剤と同等の高い効果が期待できます。注射ではなく内服薬なので、患者さんのライフスタイルに合わせて治療の選択肢がさらに広がりました。当クリニックでも、大病院と同様にこれらの最新治療を正確な診断のもとで行い、その方にとってベストな治療法をご提案しています。

ーー治療のゴールは「完治」ではなく「寛解(かんかい)」だとお聞きしました。これはどういう状態ですか?

山口院長リウマチは、残念ながら現在の医療では、薬を完全にやめても再発しない「完治」という状態にまで至るのは難しい病気です。そのため、私たちは「寛解」を治療の大きな目標にしています。寛解とは、「適切な治療を続けることで、病気の症状や兆候がほとんど見られない状態」を指します。つまり、痛みや腫れがなく、血液検査でも炎症反応が正常で、関節破壊の進行が止まっている状態です。この寛解を維持できれば、リウマチになる前とほとんど変わらない日常生活を送ることが可能です。若い女性の患者さんであれば、妊娠や出産といったライフイベントも、治療を続けながら問題なく迎えることができます。リウマチだからといって、人生を諦める必要は全くないのです。

全身を診る内科医として|目黒柿の木坂リウマチ・内科クリニックの強み

クリニック名が示す通り、リウマチだけでなく内科全般の診療も行う山口院長。

「リウマチは内科の病気」という信念のもと、患者の全身を診ることにこだわっています。

ーーリウマチ科を標榜するクリニックは、以前は整形外科が多かったそうですね。

山口院長そうですね。手が痛い、膝が痛いとなると、まずは整形外科に行く、という患者さんの動線を考えると、整形外科クリニックがリウマチ科を一緒に標榜するのは自然な流れでした。今でもそういうクリニックはたくさんあります。ただ、私は「リウマチは本来、内科が診るべき病気だ」と考えています。先ほどお話しした生物学的製剤やJAK阻害薬といった新しい薬は、非常に効果が高い一方で、免疫の働きを調整するため、副作用に細心の注意を払う必要があります。感染症にかかりやすくなるなどのリスク管理が非常に重要で、それは関節だけでなく、全身の状態を管理できる内科医の専門領域です。関節以外の合併症、例えば肺などに症状が出ることもありますから、やはり全身を診る視点が欠かせません。昔はリウマチを診ていたけれど、最近の薬は難しくて専門外になった、とリウマチの診療をやめてしまった整形外科の先生もいらっしゃいます。餅は餅屋、というわけではありませんが、薬物療法のマネジメントに関しては、リウマチ内科に任せていただいた方が良いケースが多いと思います。

ーー患者様と接する上で、一番大切にされていることは何ですか?

山口院長何か特別なことをしているわけではないのですが、とにかく「何でも話を聞く」ということに尽きます。リウマチは長く付き合っていく病気ですから、患者さんとは自然と長いお付き合いになります。20年近くのお付き合いの患者さんもいらっしゃいます。そうなると、診察室での会話は、リウマチの症状の変化に関する話だけではありません。ご高齢の女性の患者さんが多いので、お喋りしたい方もたくさんいらっしゃいます(笑)。もちろん、その会話の中から病気に関する重要な情報を引き出すという目的もありますが、それ以外の健康相談や、まったく関係のない世間話もたくさんします。

ーーどのようなご相談があるのでしょうか。

山口院長例えば、「先生、最近コレステロールが高くって」「血圧の薬、ここで一緒にもらえないかしら」といったご相談も日常茶飯事です。リウマチで定期的に通院しなければならないのであれば、そこで糖尿病や高血圧、骨粗しょう症といった他の病気も一緒に管理できた方が、患者さんにとっては楽ですよね。そういう意味で、通い慣れた場所で、何でも気軽に相談できる「かかりつけ医」としての役割も担っていきたいと思っています。

ーー大病院ではなく、クリニックだからこそできることがある、ということですね。

山口院長そう思います。大病院には大病院の良さがあります。最新の設備が整っていますし、様々な科の専門医がいて、カンファレンスなどを通して多角的に患者さんを診ることができます。そのクオリティの高さは間違いありません。ただ、どうしても補えない部分もある。それが、患者さん一人ひとりとじっくり向き合う時間です。私は、患者さんご自身に、ご自身の病気や治療について深く理解していただくことが非常に大切だと考えています。治療のメリットだけでなく、リスクや費用、期間について丁寧にご説明し、患者さんが何を一番望んでいるのか、どのような生活を送りたいのか、その方の背景もお聞きしながら、一緒に治療方針を決めていく。いわゆる「二人三脚の治療」です。そういった、きめ細やかな対応ができるのが、当クリニックの最大の強みだと思っています。

山口院長から関節の痛みに悩むあなたへ

取材の最後に、今まさに体の不調に悩み、この記事を読んでいる方々へ、山口院長からメッセージをいただきました。

ーー先生の今後の展望や、注目している新しい治療法などはありますか?

山口院長生物学的製剤やJAK阻害薬の登場で、寛解に至る患者さんは劇的に増えました。しかし、それでも残念ながら、あれこれ治療を試しても、なかなか良くならない患者さんがいらっしゃるのも事実です。今ある薬は、炎症を引き起こすサイクルの一部をブロックするものが多いのですが、今後は、全く違うメカニズムで炎症を抑えるような、画期的な新薬が出てきてほしいと強く願っています。世界中の研究者が開発に取り組んでいるはずなので、それが一日も早く実用化され、今苦しんでいる患者さんのもとに届くことを期待しています。

ーー最後に、関節の痛みや体の不調に悩んでいる読者へメッセージをお願いします。

山口院長私からぜひお伝えしたいのは、「体の辛い症状を我慢しないでください」ということです。何かおかしいな、と思うことがありましたら、ぜひ専門医を受診していただきたいと思います。検査をしてみて、何事もなければそれで良いわけですし、もしも病気が見つかっても、早い段階から治療を始めることができます。新しい治療法もたくさんできていますから、どうか諦めないでほしいと思います。関節リウマチは発症すると長く付き合わなければならない病気です。今目の前の辛いこと、そしてこの先の不安なこと、私も一緒に向き合っていきたいと思います。身体のこと、それ以外のこと、何でもご相談ください。当クリニックでは私をはじめ、スタッフ一同が親切・丁寧な対応を心がけておりますので、ぜひお気軽にご来院いただきたいと思います。

目黒柿の木坂リウマチ・内科クリニック

診療科目リウマチ科、内科、アレルギー科
住所〒152-0023
東京都目黒区八雲1-3-6
K-crossビル202
診療日9:30〜12:30/14:00〜18:00
※水曜・土曜は17:00まで
※予約優先、受付は診療終了30分前まで
※診療日・担当医は公式サイトへ
休診日金曜・日曜・祝日
院長山口 晃弘
TEL03-3724-0515
最寄駅東急東横線「都立大学駅」より徒歩3分
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この記事を書いた人

診療ナビ」はアドバイザーナビ株式会社が運営する医療情報発信メディアです。開業クリニックの先生方に直接取材を行い、診療への姿勢や先進医療への取り組み、地域医療への貢献、さらには医療業界に対する考えや想いをお届けします。読者の皆さまにとって、医療をより深く理解し、身近に感じていただける発信を続けてまいります。

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