あやこいとうクリニック|伊藤 史子 院長|「もう治らない」と諦めるのはまだ早い。予防医療の専門家・スポーツドクターが実践する「ボーダーを超える」オーダーメイド医療とは?

2025年11月11日に実施したインタビューを元に執筆しています。

スポーツによる繰り返す故障、なかなか治らない古傷、年齢とともに感じる身体の不調やコンプレックス。

「もうこれ以上は良くならない」「仕方ない」と、諦めかけている症状はありませんか?

代官山駅からすぐの場所にある「あやこいとうクリニック」は、そんな常識の壁に挑み続けるクリニックです。

保険診療の形成外科や皮膚科のみならず、美容医療、予防医療、そしてスポーツ医療まで、あらゆる分野の境界(ボーダー)を超えて、一人ひとりに最適な「オーダーメイド医療」を提供しています。

今回は、そんなクリニックの院長 伊藤 史子(いとう あやこ)先生にインタビューを実施しました。

ご自身の経験から生まれた「諦めない」治療への信念、アスリートを怪我する前より良い状態へ導くスポーツドクターとしての知見、そして様々な悩みを持つ人へ役立つ情報をお届けします。

目次

伊藤 史子院長が語る「あやこいとうクリニック」の原点と想い

まずは、伊藤院長の医師としての歩みと、現在のクリニックが生まれるまでの経緯について詳しくお伺いしました。

ーーキャリアと家庭の両立を目指し、自由が丘で開業されたのがスタートだったそうですね。

伊藤院長
 はい。私は欲張りだったので、医師としてのキャリアも、家庭や子育ても、どちらも成功させたいという想いが強くありました。ですが、私が若かった頃の医療現場、特に外科系の分野では、転勤や当直も多く、どちらか一方を選ばざるを得ないような雰囲気があったのも事実です。
 そんな中、東日本大震災を経験したこともあり、娘が小学校に上がるタイミングで、「娘の学校」と「自宅」、そして「クリニック」をすべて歩いて行ける距離で開業しようと決意しました。2011年のことです。
 最初は、自由が丘の九品仏という閑静な住宅街で、一軒家を改装してスタートしました。モダン建築の素敵なお家で、休み時間には庭で娘とブルーベリーを摘んだりして、週に3〜4日、のびのびと診療していたんです。娘が体調を崩した時でもそばにいられる、そんな細々とした形でもキャリアを積める環境を自分で作ろうと思ったのがきっかけですね。

ーーそんな、”のんびりとしたスタート”から、多くの方が訪れる代官山へ移転された経緯を教えてください。

伊藤院長
 自由が丘での開業当初から、私はアメリカなどで学んだ予防医療の考え方を取り入れていました。そうすると、当時はまだ珍しかったこともあり、遠方からも患者さんが来てくださるようになったんです。
 その後、ありがたいことに患者さんが増え、スタッフも増員し、より専門的な医療機器も導入していくと、手狭になってきました。また、遠くから来てくださる方の負担を少しでも減らしたいと思い、アクセスの良い場所を探していました。そんな時、タイミング良くご縁があったのが、ここ代官山です。
 2017年に一度移転し、さらに患者さんが増えたことで、2023年12月に現在の「フォレストゲート代官山」にリニューアルオープンしました。

ーー代官山へ移転され、クリニックの内装も「森」を想起させるようなデザインですね。伊藤先生のこだわりを感じます。

伊藤院長
 クリニックのコンセプトは、一軒家でスタートした頃から変わらず、「病院らしくない、遊びに来るような感覚で来てもらえる場所」にしたいという想いがありました。私自身が飽き性なので(笑)、どうせなら自分が楽しくなるような空間にしたかったんです。旧院の代官山プラザに構えていた頃には、ヨーロッパの手焼きのタイルを自分で選んで、壁にベンゼン環(六角形)の形であしらったりしたこともあります。
 そして2023年、フォレストゲート代官山に移転する際、ご縁もあって、アマン東京などの内装を手がけたチームが「森の中の研究所」というテーマでデザインしてくださいました。入り口のエントランスには高野山の参道の杉を、院内の一部には伊勢神宮に所縁のある廃材を使っています。ただの木材ではなく、日本古来の「意味のある木材」を使うことで、本物のパワースポットのようなリラックス空間を目指しました。
 院内は「森の中を散歩する」イメージで、大木を中心に回遊できるようになっています。天井の照明も木漏れ日をモチーフにしていて、時間帯によって明るさや色が変わるんですよ。クリニック自体が呼吸しているような、そんな空間です。
 偶然にも、ここのビル名が「フォレストゲート」だったので、コンセプトがドンピシャで。患者さんにも「病院に来た」というより、「楽しいことをしに来た」という気持ちで通っていただけると嬉しいですね。

ーー先生は形成外科がご専門ですが、なぜ「予防医療」にも力を入れるようになったのでしょうか?

伊藤院長
 私はもともと機械が好きで、形成外科医としてキャリアをスタートした当時は、ちょうどレーザー脱毛などが台頭してきた時期でした。「男性の先生にやられるよりは女性の方がいいでしょう」と、最初は興味がなかった美容分野の勉強も始めたのですが、これが突き詰めてみると非常に面白くて。
 海外の新しい機器や治療法を探しに行くうちに、アメリカやヨーロッパの予防医療の学会に参加する機会をいただきました。そこで、ホルモン補充療法や分子栄養療法などを学び、これを日本人流にアレンジして使うと、保険診療ではなかなか良くならなかった、ひどいニビや更年期のつらい症状に悩んでいる方々への、すごく良い「橋渡し」ができると気づいたんです。
 「なぜ悪くなってしまったのか」「なぜ良くならないのか」を突き詰めると、ホルモンバランスや栄養素が影響していることが本当に多い。そこで得た予防医療のノウハウを、自分がもともと持っていた形成外科や皮膚科の治療に役立てている、というのが現在のスタイルですね。

ーー海外の医療にも精通されていると思いますが、日本の医療との違いはどこにあると感じますか?

伊藤院長
 アメリカもヨーロッパなども、そしてお隣の韓国も、それぞれ得意分野があり、面白いアイデアを持っています。例えば、精密時計を作るのが得意な国は、良い治療機器を生み出しますし、兵器開発の技術が医療機器に応用されることもあります。
 海外は総じて「自由度」が高いと感じますね。だからこそ新しいものが生まれやすい。対して日本は、ルールが厳しく、何よりも「安全」を重視します。もちろんそれは素晴らしいことなのですが、「120%の安全」を目指すあまり、新しい技術が臨床の現場に出てくるまでに時間がかかり、進歩という点では少し遅れを取ってしまう側面もあるのかなと感じています。
 海外では「8割いける」と思ったら、あとの「2割は冒険する」という感覚で新しい治療に挑むことがある。もちろんリスクはありますが、それによって救われる患者さんがいるのも事実です。私は、その両方の良いところを理解した上で、日本で安全に提供できる、最善の治療を選び取っていきたいと考えています。

伊藤 史子先生の医師としてのルーツ|多角的な視点を育んだ形成外科・救命センターでの経験

伊藤院長の医療は、一朝一夕に生まれたものではありません。

医師の家系に生まれ、形成外科医として専門性を磨きながらも、大学院での研究、さらには救命救急の最前線まで、多岐にわたる経験が現在の幅広い診療の礎となっています。

ーー先生は代々医師の家系だそうですが、幼い頃から医師を目指されていたのですか?

伊藤院長
 祖父も父も医者という家系でした。ですが、私自身は幼いころ、漠然と芸術関係の仕事をしたいと思っていたんです。ところが、跡継ぎとして期待されていた弟が早々に医者以外の道を選んだので、家族の期待が私に向くことになって(笑)。「じゃあ、私がお医者さんになろうかな」と考えるようになりました。
 今でも印象に残っているのが、祖母の「絵描きになってから医者になることはできないけれど、医者になっても絵を描くことはできる」という言葉です。確かにそうだなと納得して、医学の道に進むことを決めました。

ーー数ある診療科の中で、なぜ「形成外科」を専門に選ばれたのでしょうか?

伊藤院長
 もともと外科的な分野に興味があったことが一つです。整形外科医を希望していたのですが、当時は女性医師が入れないという時代背景もありました。そこで、指をつないだり、火傷の皮膚を移植したりと、少し似ている分野である形成外科を選びました。
 私が専門を選んだ当時は、小児外科や形成外科といった分野に女性の医師がとても少なかったので、社会的に必要とされるのではないか、という想いもありました。また、形成外科は単体で完結する科というよりは、耳鼻科や小児科、脳外科など、いろいろな科と関わりながら治療を進めていきます。仕事の枠が幅広く、選択肢が多いことが、私にとって研究対象としても非常に魅力的でした。

ーー昭和大学の大学院では、どのような研究をされていたのですか?

伊藤院長
 大学院では、ビタミンを使った口蓋裂の「予防」に関する研究などをしていました。当時の昭和大学の大学院は臨床の現場との関わりが非常に深く、自分の研究が実際の臨床の場でどう活かせるかを常に考えながら取り組めたので、とても興味深かったです。
 この時の「予防」に関する研究が、今当院の柱の一つとなっている予防医療の考え方にも繋がっていますね。

ーー大学卒業後は、大学院と掛け持ちしながら、救命センターという大変お忙しい現場もご経験されたそうですね。

伊藤院長
 はい、日本医科大学の高度救命救急センター(CCM)で働いていた時期があります。そこでは、地下鉄サリン事件の現場に入るといった、特殊な状況下での救命活動にあたることもありました。まさに命の最前線で、全身管理の技術を徹底的に学びました。
 ほかにも、全国各地の病院で仕事をする機会に恵まれました。その土地ごとの気候風土によって、かかりやすい病気や症例に違いがあることなど、教科書だけでは学べない多くのことを臨床の現場で経験させていただきました。これらの経験すべてが、今の私の多角的な視点での診療に活かされていると感じています。

あやこいとうクリニックの「ボーダーを超える」医療とは|診療科目の枠に捉われない独自の治療アプローチ

「あやこいとうクリニック」の最大の強みは、その診療の幅広さにあります。

形成外科からスポーツ医療、予防医療まで。なぜこれほど多岐にわたる分野を網羅しているのか、その理由に迫ります。

ーー「あやこいとうクリニック」のコンセプトは「ボーダーを超えて行く」ですが、これは保険診療の限界を感じたご経験から生まれたのでしょうか?

伊藤院長
 はい、まさにその通りです。勤務医時代から、保険診療の枠組みの中だけでは、患者さんの悩みを根本的に解決しきれないと感じる場面が多々ありました。
 予防医療もそうですが、「なぜ?」を突き詰めると、一つの診療科目だけではサポートしきれないのです。そこで、他院でもできてしまうことは任せて、各分野の様々な選択肢を組み合わせた提案をしようという路線に舵を切りました。よりニッチな方へ、ですね。
 「怪我してしまったから仕方ない」「これ以上治らなくても仕方ない」という、不調を抱えたままの日常を当たり前にしてほしくない。私たちは医療分野の境界(ボーダー)を越えてアプローチすることで、患者さん一人ひとりに寄り添う「オーダーメイド医療」をご提案し、体の内外から総合的にサポートすることで、期待を上回る回復を目指しています。

ーー総合的にサポートするための施設として「代官山Medical LAB(メディカルラボ)」というスタジオも併設されているようですが、どのような施設なのでしょうか?

伊藤院長
 メディカルラボは、クリニックと同じフロアにあるトレーニングスタジオです。以前はクリニックの中にスペースを設けていたのですが、選手のケアやトレーニングの規模が大きくなり、専門的な器具も必要になったため、独立した施設として拡充しました。
 ここでは、床に座ったまま行う「フロアバレエ」やパワープレートを用いたトレーニングなど、各分野の専門トレーナーによるレッスンを行っています。
 例えばフロアバレエは、重力から解放された状態で、普段使えていない筋肉の使い方を「思い出させ、強化しながら、統合して使えるようにする」ためのトレーニングです。運動解析を得意とするトレーナー陣は、アスリートからJr.アスリートはもちろん、側弯の改善、尿漏れの軽減や、ゴルフの飛距離を伸ばしたいといった目的のシニアの方まで、幅広く受けていただいています。
 クリニックでの治療とスタジオでのトレーニングを連携させ、医学的なアプローチと身体機能へのアプローチを融合させています。

ーーその他にもアスリートのために運動解析も行っていると伺いました。

伊藤院長
 はい。東洋大学の教授にもご協力いただき、専門的な「運動解析」も行っています。スポーツをしている方の故障の原因をバイオメカニクスの視点から突き止め、「なぜこの怪我が起きたのか」「故障をカバーするためにはどう動けばいいのか」を分析し、その人に合った治療やトレーニングメニューを作成しています。
 治療して終わり、ではなく、動かしてみて、また治療して、クライアントを進化するというサイクルを回せるのが、クリニックとスタジオが一体となっている強みですね。

ーーどのようなお悩みの患者さんが多く来院されますか?

伊藤院長
 診療科目は形成外科、皮膚科、整形外科を標榜していますので、保険診療のニキビ、水虫、ヘルペスといった一般的な皮膚疾患の方もいらっしゃいますし、美容医療、更年期や予防医療のご相談も多いです。
 そして、当院のもう一つの大きな柱がスポーツ医療です。老若男女問わず、さまざまな競技のアスリートや、プロを目指すジュニア選手、趣味の体操やダンスなどに励む方々などが、怪我からのリカバリーや、怪我をしにくい体づくりのために通われています。
 ありがたいことに、当院の患者さんのほとんどは「ご紹介」で来てくださっています。どこかで大々的に宣伝をしているわけではなく、スポーツや医療関連の学会やシンポジウムでお話しさせていただいた内容を聞いて、ご紹介いただくことも多々。あとは、選手から選手へ、という「選手つながり」や、チーム単位で来てくださることも非常に多いですね。

伊藤 史子先生のスポーツドクターとしての信念|「怪我する前より、良い状態で復帰させる」

伊藤院長は「スポーツドクター」として、多くのアスリートを支えています。

そのアプローチは、単なる怪我の治療に留まらず、選手の未来までを見据えたものでした。

ーー「スポーツドクター」としての先生の強みは、どこにあるとお考えですか?

伊藤院長
 「スポーツドクター」の資格を持っている医師は他のクリニックにもいらっしゃいます。そして、その多くは整形外科の先生ですが、私の強みは、形成外科、皮膚科、美容医療、そして予防医療の知識も持ってスポーツ医療に関わっている点にあると思います。
 例えば、選手のパフォーマンスを上げたい時、整形外科的なアプローチ(骨や筋肉)だけでなく、予防医療の観点から栄養状態やホルモンバランスを整えることもできます。また、怪我の「傷跡」をきれいに治すのは、まさに形成外科医の専門分野です。
 そしてスポーツ選手の悩みは多岐にわたります。外観も整えたいし、機能も整えたい。ニキビも治したいけれど、パフォーマンスも上げたい。そういった複数の要望に対して、多角的にアプローチできるのが、うちのような「変わりダネ」なクリニックの強みではないでしょうか。

ーーアスリートの方は、怪我の予防、治療、コンディション調整など、様々な段階で来院されるそうですね。

伊藤院長
 そうですね。大事な試合の前にコンディションを整えに来る選手もいますし、野球のピッチャーが連投で疲労が溜まり、「これ以上投げたら怪我してしまう」という一歩手前の段階でケアに来ることもあります。もちろん、定期的なメンテナンスで通う選手も多いです。
 私たちは、「怪我をした選手は、怪我する前よりも良い状態で現場復帰させること・怪我しない身体作り」を目標に取り組んでいます。

ーー「疲労骨折で、一ヶ月後の大会は諦めるしかない」といった状況でも、何かできることはあるのでしょうか?

伊藤院長
 「疲労骨折しちゃったけど、一ヶ月後の大会はもう諦めるしかないですよね?」という問いに対して、実は「そんなことないよ」と言えるノウハウが、うちにはあります。
 もちろん、魔法ではありませんから、100%とは言えません。しかし、最新の治療機器や予防医療の知見、トレーニングを総動員して、リペアとリカバリーを早めるための手立てを講じることは可能です。「諦めない」治療、それが当院のモットーです。

ーー一般の方でも、アスリートと同じレベルのケアを受けられるのでしょうか?

伊藤院長
 もちろんです。当院では、一般の方にも基本的にアスリートに提供しているのと同じケアを提供しています。アスリートは、常に体調を整え、コンディションが悪くなる前に生活習慣や身体のバランスを整えておくことが、怪我の予防やパフォーマンスの発揮に繋がります。この考え方は、一般の方が病気になりにくい体づくりや、病気を発症しにくいライフスタイルに整えていくことと全く同じです。
 まずは「今の自分の状態を知ること」。特に不調がない、調子が良いときにこそ検査をして、ご自身のベストな状態を記録しておくことをお勧めしています。そのデータが、後々何か不調が出たときに、治療を検討する上で非常に重要な基準になりますから。

伊藤 史子先生の経験が切り拓いた「諦めない」治療|脊柱側弯症・傷跡など

伊藤院長の「諦めない」医療は、ご自身の娘さんのご病気という、最も身近な出来事がきっかけで、幅が広がったと言います。

ーー特に力を入れている治療として「脊柱側弯症」のサポートがあると拝見しました。

伊藤院長
 はい。「脊柱側弯症」の治療にも積極的に関わっています。実はうちの娘が思春期に、背骨が曲がってしまう「特発性側弯症」になってしまった時期があるんです。側弯症は女の子に多く、特にクラシックバレエや新体操などの一部のスポーツとの関連も報告されています。
 その時の標準的な治療は、「これ以上曲がらないようにしよう」というものでした。でも、娘の背骨は3ヶ月ほどの間にバーッと急激に曲がったんです。その時、選手たちの治療も見ていた私は、「短期間に曲がったなら、時間を置かなければ、短期間に戻せるんじゃないか?」と思ったんですね。
 でも、専門の先生方からすれば「側弯症は治るもんじゃない」というのが常識でした。そこからはもう、医療界に対する私の挑戦でもありました。

ーー側弯症というと「これ以上悪化させない」治療が一般的ですが、先生のアプローチはどのようなものなのでしょうか?

伊藤院長
 娘の時もそうでしたが、ただ硬い装具をつけて「曲がらないようにする」だけでは、特にバレエや新体操で「きれいに見せたい」と思っている女の子たちは、絶望してしまいます。手術的な治療法を選択せざる得ない場合は勿論存在します。が、鎧みたいな装具のせいで、多感な思春期の間中、着てみたい可愛い服も着られず、毎日泣いているような子もいるんです。
 もちろん効率的な装具も使いますが、当院では、それに加えて運動解析を行い、専門的なトレーニングを組み合わせることで、曲がった背骨を戻していくというノウハウを用いて治療にあたっています。この治療については、学会でも発表させていただきました。
 娘も、今では大学3年生になりましたが、ほとんどわからないくらいになっています。早く見つけてあげられれば、早くアプローチしてあげられる。受験期に座りっぱなしで筋力が落ちてまた少し曲がってきても、「じゃあ、ここでまた整えよう」と予防的な介入もできます。
 絶望だけじゃなくて、「可愛い服も着れるし、きれいなお姉さんにもなれるよ」という希望を与えること。それが私の目指す側弯症サポートです。

ーーなるほど、その他にも注力している治療はありますか?

伊藤院長
 傷跡の治療も行っています。傷跡も、「一度できたら消えなくて当然」と思われがちな分野です。でも、私はそれを極力消していきたい。
 例えば、小さい頃に心臓の手術を受けて、胸に大きな傷跡が残ったお子さんが、「プールに行きたくない」と言うとします。私たちは、その傷跡に様々な治療機器や選手の肉離れ・骨折で培ったノウハウを駆使してアプローチします。完全に傷が消えなくても、あれだけ赤く盛り上がっていた傷が、平らになった。それだけでも、その子は「プールに行ってみようかな」と、気持ちが変わり始めるんです。
 傷跡が良くなると、人の気持ちや選択肢が広がる。その瞬間に立ち会えることが、この治療のやりがいです。諦めている傷跡があるなら、一度ご相談いただきたいですね。

「もう治らない」と諦めている方へ|伊藤 史子院長からのメッセージ

インタビューの最後に、伊藤院長から、様々な不調や悩みを抱え、「仕方ない」と諦めかけている方々へ、力強いメッセージをいただきました。

ーーお話しをお聞きしていると、まさに「他で頭打ちになってしまった」という方にこそ、来てほしいクリニックですね。

伊藤院長
 そうなんです。当院のアピールポイントは三つあると思っています。
 一つ目は、まさにおっしゃる通り、「他で頭打ちにあってしまった、あらゆる症状」です。肩を怪我して手術したけれど可動域が狭い、でもピッチャーだから投げたい。そんな時、「もうピッチャーは無理だから野球もやめよう」となる前に、一度来てみてほしい。「役に立てるかも」という存在でありたいと思っています。
 二つ目は、これまでお話ししてきた「諦めない」治療です。傷跡、骨折、捻挫に肉離れ、、、側弯症含め、損傷したもののリペア(修復)とリカバリー(回復)において、当院ならではのノウハウがあると自負しています。

ーー三つ目のアピールポイントは何でしょうか?

伊藤院長
 三つ目は、「マニアックな治療のアンテナショップ」であることです(笑)。
 先ほども形成外科に進んだ理由でお話しましたが、私は機械が好きで、海外の学会にもよく顔を出すので、「アジア一号機」や「日本一号機」といった最新の治療機器が、情報とともに真っ先に集まってくる場所になっています。
 それに伴って、例えばフランスから新しいコンセプトのアイテムなども入ってきます。何か新しいもの、面白いものがないか探しに来る、そんな「アンテナショップ」みたいな感覚で使っていただくのも楽しいかなと思います。
 私たちは「5年前と同じ治療でいい」とは決して思っていません。「進化を止めない」こと、そして常に「似て非なるもの」・「唯一無二」で居続けることが、我々のテーマの一つです。

ーーアンチエイジングや不調などに悩む方々に伝えたいことはありますか?

伊藤院長
 「世の中、知らないと損することがいっぱいある」ということです。そして、「諦めないでほしい」ということ。それは若いアスリートたちだけではなく、私のような50代、60代の方々にも同じことを伝えたいです。
 人生100年時代と言われる中で、この程度の痛みや不調は抱えたまま生きていくしかない、と諦めないでほしい。趣味やおしゃれも、「隠すメイク」や「仕方ない」で終わらせるのではなく、素の自分が楽しめるような、そんな日々に近づけていくお手伝いができると信じています。「しょうがないか」と思っていることがあるなら、まずは一度、ご自身の体にもっと興味を持って、相談しに来てほしいですね。

ーー最後に、伊藤先生の今後の目標をお聞かせください。

伊藤院長
 私は、娘や、その先の孫の世代が、世界の中で肩身の狭い思いをしないように、日本の価値を高めていきたいという想いを強く持っています。
 今、私たちがアスリートやアーティストの方々をサポートしているのも、彼ら・彼女らが「日本発」の才能として世界で輝いているからです。
 今後は、当院で開発しているドーピングフリーのサプリメントや、私たちが培ってきた治療のノウハウ、あるいは新しいアイデアそのものを、「日本発の医療」として世界に発信していくことが目標です。そうすることで、世界中の人々に「日本人って、やっぱりすごいよね!いなくなったら困る存在だよね!」と認めてもらいたい。それが、次の世代への一番の贈り物になると信じています。

あやこいとうクリニック

診療科目形成外科・皮膚科、整形外科
スポーツ医療、美容医療、予防医療
住所〒150-0034
東京都渋谷区代官山町20番23号 Forestgate MAIN棟 2F
診療日(月・火・水・金・土)
10:00〜18:30
(日・祝)
10:00〜14:30
※診療の最終受付時間は診療終了の30分前
休診日木曜、第5日曜、年末年始
院長伊藤 史子
TEL03-6455-1337
最寄駅東急東横線「代官山駅」より徒歩約1分
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この記事を書いた人

診療ナビ」はアドバイザーナビ株式会社が運営する医療情報発信メディアです。開業医の先生方に直接取材を行い、診療への姿勢や先進医療への取り組み、地域医療への貢献、さらには医療業界に対する考えや想いをお届けします。読者の皆さまにとって、医療をより深く理解し、身近に感じていただける発信を続けてまいります。

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